最近は、保護犬を家族に迎える人も
多くなりましたね。
保護された子たちは、
それぞれにいろんな体験をしてきているので、
なかなか人に懐いてくれないこともあります。
うちの2匹も自分で保護した犬たちで、
最初に迷い込んできたミルは
5年間触らせてもくれませんでした。
↓
https://d-marron.com/miru
飼い始めたころは、
頑張っても全然変わらなくて、
最後まで触れないままなんじゃないかと
諦めかけたこともありました。
でも、ある日テレビを見ていると、
「この子は5年間触れなかったんです。」
と、膝に乗せたワンちゃんの頭を
撫でている人がいらっしゃいました。
5年もかけてやっと触れるようになることも
あるんだと、とても励まされたものです。
そして私も、
5年目に少し触れるようになり、
10年たった今も、
まだ少しずつ距離を縮めていっています。
保護犬や保護猫と距離を縮める方法は
今ではテレビでもよく見かけます。
でも、ミルを保護した頃は、
調べてもあまり情報がありませんでした。
私と同じような努力をされている方のために、
私がミルと近づくために試行錯誤した内容を
紹介しようと思います。
1匹1匹性格も体験も違うので、
どの子にも当てはまるわけでは
ないと思いますが、
少しでも参考になると嬉しいです。
食べ物をあげることを通して距離を縮める
食べ物で釣るなんて、なんだかなぁ、
と思うかもしれませんが、
食べることがやはり、
生きるために一番必要なこと。
この、絶対に必要な「食べる」ということを、
仲良くなるためのきっかけにするのは、
かなり有効でした。
テレビでもお馴染みの方法ですね。
動物病院や保護施設の方から
教えていただきながら、
食べ物を使って仲良くなる方法を
いろいろ試しました。
まずは、次の3点をクリアすることから
始めました。
①人が見ていても食べることができる
②音がしても食べ続けることができる
③手から食べ物を取ることができる
そして、それがクリアできて、
少し仲良くなれたら、食べ物を持って逃げ、
自分を追いかけさせて与えるというふうに、
鬼ごっこ感覚でオヤツをあげることも
できるようになりました。
①〜③を、それぞれ次のようにやってみました。
① 人が見ていても食べることができる
慣れてないワンちゃんは
人前でご飯を食べることさえ
できないことも多いですよね。
ミルの場合も、
最初は器にエサを入れて
見えないところまで離れると
食べ始める感じでした。
そのうち、
5mくらい離れていれば見える所にいても
食べられるようになりました。
それから3m、2mと
少しずつ距離を縮めていき、
今は、そばにいても、
私がじっとしていれば
食べるようになりました。
こんなふうに、段階を追って
少しずつ慣らしていくのがいいようです。
② 音がしても食べ続けることができる
ビビリのミルは、
人前で食べることができるようになっても、
食べている時に少しでも音がしたり
何かが動いたりしたら、
びっくりして食べるのをやめ、
逃げていました。
なので、次は音がしても食べ続けることを
目標にしました。
食べている時に食器をスプーンで叩くなど、
わざと小さな音を立てます。
その音が気にならなくなったら
少しずつ音を大きくしていき、
音がしても気にせず食べ続けられるように
慣らしていきました。
③ 手から食べ物を取ることができる
食べ物を
人の手から取って食べられるようになると、
距離はかなり近づきますよね。
私はまず、10cmくらいの
長いジャーキーから始めました。
最初は自分から少し離れたところに
ジャーキーを置き、
食べたら次のジャーキーをさっきより少し
自分に近いところに置き、
というふうにして、
少しずつ自分の近くで食べられるように
していきました。
この時、あまりミルの方を見ず、
動かずにじっとしておくよう気をつけました。
私から1メートルくらいのところまで来て
食べるようになったら、
手から取ってもらうことに挑戦しました。
ジャーキーの端っこを持って
しっかり手を前に伸ばし、
顔と顔が70cmくらい離れたところからなら
取ってくれるようになりました。
それができたらオヤツを短いものにしたり、
腕を曲げたりして、
少しずつ距離を縮めていきました。
最後は手のひらの上に置いたものを
取って食べるのが目標でしたが、
これができるようになったのは
かなり後のことでした。
家に遊びに来た人にお願いして、
オヤツをあげてもらったりもしました。
いろんな人の手から食べ物をもらうことで、
少しずつ人に馴れてくれたらと。
初対面の人は難しいけれど、
時々会う人からは、警戒しながらも、
もらって食べられるようになりました。
こんな感じで、
最初よりはリラックスして
食べてくれるようにはなりました。
しかし、ミルはかなり重症で、
10年一緒に暮らしているのに、
実はいまだに
落ち着いてご飯が食べられません。
今でも食べている最中に
私がミルの背後に移動したりすると、
慌てて喉に引っかけたり、
食べ物をこぼして逃げることがあります。
食べている時に怖がることをしたことは
ないはずなのですが。。。
距離はかなり縮まったけれど、
まだ完全に信用されてはいないと感じます。
先は長いですね。
遊びを通してふれあう
触れない 散歩に行けない
呼んでも来てくれない
ボールを投げても反応しない
そんなミルと
何とかして一緒に遊ぶ方法はないか
一生懸命考えました。
私が自分なりに工夫して、
遊びにしていたことを紹介します。
①鬼ごっこ
最初に一緒に遊んでいる感覚を味わえたのは
鬼ごっこのような遊びでした。
ミルにちょっと近づくと逃げる。
もうちょっと近づくとまた逃げる。
ミルがなんとなく
楽しそうに逃げているように見えたので、
私も大袈裟に楽しそうに
追いかけるフリをしてみました。
この鬼ごっこ、
回を重ねるごとにミルが楽しいという感情を
表に出すようになりました。
前足を大きく広げて前に出し、
「こっちに来いよ!」
と誘ってくるようになり、
私が本気で追いかけても大丈夫なまでに
なりました。
好きな食べ物を持って私が逃げ、
ミルに追いかけさせて食べさせることも
できるようになっていたので、
ミルが鬼になることもありました。
この遊びをきっかけに、
ミルとの距離は大きく縮まりました。
②綱引き
お散歩ができないミルは、
最初の4年くらい5mのリードで庭に繋ぎ、
広く庭を移動できるようにして
過ごしていました。
全くこちらで誘導することが
できなかったミル。
リードを引くことで
こちらに来てくれるようになれば、
お散歩に行けるようになるかもしれないし、
車に乗せることも
できるようになるかもしれません。
リードも首に近いところは
触らせてくれないので、
ミルから2〜3m離れたところ持ち、
綱引きのような遊びをするように
してみました。
リードを持ち、
ミルの目を見ながら
「ヨイショ」
などと高く明るい掛け声をかけながら
軽く引きます。
するとミルも、踏ん張って下がろうとします。
そしたら、また、
「ヨイショ」
と声をかけながら軽く引きます。
またミルが踏ん張ります。
強く引き過ぎたり、
大きな声を出したりしないようにし、
楽しく遊んでいる雰囲気を伝えるように
努力しました。
最初はちょっと
怖がっていたかもしれませんが、
何度か繰り返していると、
ミルも楽しそうに引っ張り返すように
なりました。
そうしながら、
ちょっとずつ引いた方に来てくれるように
慣らしていきました。
そのうちリードで誘導できるようになり、
時間はかかりましたが、
お散歩に連れ出すことも
できるようになりました。
車に乗って
病院に行くことができるようになったのも
大きな進歩です。
去年からは、リードを引いて
診察室にも入れるようになりました。
大切だと気づいたこと
ともだちの存在
お散歩したり、
車に乗ったりできるようになったのは、
ラッキーの力も大きかったと思います。
ラッキーは、
ミルを飼い始めて4年経った頃、
山から出てきたのを保護した子です。
↓
https://d-marron.com/lucky
この子も捨てられたらしく、
ガリガリに痩せて怯えていましたが、
触らせてはくれました。
一応最初からお散歩もできました。
大きくて力が強いので、
最初は何度も引きずられて転び、
怪我をしましたが。
ラッキーと私の関係を見ているうち、
ミルも、触られることや
リードで人と繋がって歩くことが
怖くないことに気づいたようでした。
ラッキーにはとても優しく、
なんでも譲ってやっていたミル。
心を許せる友達ができたことが、
行動に大きな変化をもたらしたと思います。
室内で飼う
最後に、私が失敗した
とても大事なことをお伝えします。
これは現在では常識になっているので
今更言うことでもないと思いますが、
ワンちゃんは室内で飼いましょう。
昭和生まれで田舎育ちの私は、
ミルと出会った頃、
室内犬と言われる犬種以外は
外で飼うものだと思っていました。
ミルの首輪を替えるために
応援に来てくださった保護施設の方に、
「仔犬のうちに室内に入れるべきだった」
と言われました。
その時点ですでに3年間庭で飼っていたので、
いまさら家の中に入れると環境が変わり、
ストレスが溜まるからもう無理だと。
最初から家の中で一緒に過ごしていれば、
ずっと早く仲良くなれたはずです。
一緒にいる時間が長くなるのだから、
当たり前のことですよね。
出会いが突然過ぎて、
いつのまにか飼い始めてしまったので、
勉強不足だったと思います。
その後やってきたラッキーも、
ミルと一緒に庭に繋ぐしかありませんでした。
豪雨災害で引越ししてからは、
地下室と裏庭を自由に出入りできるようにし、
一応屋内で寝るようにはなっています。
でも、もし犬たちに介護が必要になった時、
猫たちと一緒の室内に
ストレスを感じるようなら、
私がコンクリートの地下室で
介護することになるかなと思ったりします。
現代では、
犬は人間と同じ空間で過ごすのが当たり前。
飼い始める前に、
まず室内にその子のスペースを
確保しなければいけないのですね。
私と同じ失敗をしないでほしいので、
是非参考にしてください。
まとめ
何か1つでも
お役に立てる話があったでしょうか。
犬も人と同じで、一度怖い体験をすれば、
それを忘れることは簡単ではありません。
触れない犬には、
そうならざるを得なかった
過去があるのだと思います。
とにかく気長に、諦めず、
寄り添っていくしかないですよね。
いつかこちらの思いをわかってくれる日が
必ずやってくると信じて、
これからも頑張ります。
もう気づいているけど、
人間にどう接していいか
わからないだけなのかもしれません。
ラッキーを保護して庭に引き入れた夜、
ミルが庭の真ん中で寝ているラッキーに
毛布を咥えて持って行ってやりました。
これは、ミルが迷い込んで来た夜、
私がミルに最初にしてやったことでした。
ミルはそれが嬉しかったから、
自分もラッキーに
同じことをしてやったのではと思いました。
私の思いは、最初の夜からすでに
ミルに届いていたのかもしれません。
長期戦に挫けそうになることも
あると思いますが、
ワンちゃんのちょっとした変化に
一喜一憂する今の状態を楽しみながら
少しずつ距離を詰めていってもらえたら
嬉しいです。
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