アクリル絵の具は手軽でとても使いやすく、
堅牢で、作品の褪色や劣化も少ない
とてもオススメな絵の具です。
私は、大学時代は油絵の研究室、
そして、水彩画教室の講師を経て、
今は一番楽なアクリル絵の具に
落ち着いています。
アクリル絵の具は、油絵のように
乾きが遅くてあちこちに絵の具がついたり
することもありませんし、
匂いも気になりません。
夜中まで描いても、
水でサラサラ洗ってすぐ眠れる手軽さが
子育てしながら絵を描く私には嬉しかった!
水彩絵の具は
滲みやボカシを使う面白さもありますが、
うまく重ねないと下の色が溶け出すなど
扱いが難しいです。
こんな難しい絵の具を小学校で使うから、
絵の具が嫌いな子どもが
増えるのではないかと思います。
そんなわけで、
大変オススメなアクリル絵の具ですが、
やはり最初はよくやる失敗があります。
初心者がやりがちな失敗と、
その対処の仕方について
書いてみようと思います。
①アクリルガッシュやいろんなメーカーの絵の具・ メジウムを混ぜる
最初に、気をつけたいことは
アクリルガッシュや
複数のメーカーの絵の具を
混色したり重ねたりすること。
これ、やってる人がとても多いみたいです。
まず、アクリルと名がついていますが、
「アクリルガッシュ」は
デザイン用の絵の具で、
全く用途の違うものです。
これを混ぜることにより、
画面が凸凹になって
描きにくくなったりするようです。
(私はやったことがないので、
聞いた話ですが)
買う時に必ず、
どちらなのか確認するようにしましょう。
もうひとつ、
別々のメーカーの絵の具を混色したり、
他社のメジウム
(水の代わりに使用する描画剤や
仕上げに塗り重ねる液体)
を使用することはお勧めしません。
詳しくは https://d-marron.com/lesson4
⑤ に書きましたが、
他社の絵の具を重ね塗りした時、
剥がれ落ちたことがあります。
私が体験したのはアクリルガッシュでしたが
身近な人に、
同じような剥離が起きたと聞きました。
ウィキペディアのアクリル絵の具の項にも
「メーカーやブランドの異なる製品の併用に難がある」
と記述があります。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AB%E7%B5%B5%E5%85%B7
混色した場合にはどんなことが起こるのか、
これから実験をしてみたいと思っていますが、
剥離しなくても、変色などが
起こる可能性もあるかと思います。
別々のメーカーを重ねると
必ず剥離するわけではありませんし、
どのメーカーとどのメーカーが
不具合を起こすかは
まだ実験したことがないのでわかりません。
でも、
私は大切な作品を危険に晒したくないので
絶対に複数のメーカーの絵の具を
混ぜて使用することはありません。
いろんな絵の具を使ってみて
慣れてきたら、
絵の具やメジウムは気に入ったメーカーに
統一することをお勧めします。
ちなみに私はホルベインを25年以上愛用し
最近はリキテックスも少し試しています。
この2社はどちらも使いやすく、
発色や品質もよいと思います。
直射日光に当てて褪色実験もしていますが、
1年半経っても全く褪色は見られません。 https://d-marron.com/taikousei
② 重ね塗りをしたとき 下の色がはがれる
重ね塗りをするとき、
下に塗っていた色が剥がれてしまう。
これは、私もいまだに時々やってしまいます。
一度乾燥すると、
濡らしても溶け出すことのない
アクリル絵の具。
でも、
生乾きのときに色を重ねると
下の絵の具は取れてしまいます。
色を重ねる時には、
必ず完全に乾かしてから重ねましょう。
また、
一度完全に乾いてアクリルの膜になっても、
水分を含んだ筆で何度も触ることにより、
アクリル絵の具の膜がふやけ、
キャンバスと絵の具の間に剥離が生じます。
その隙間に水分が入り込み、
パックを剥がすように
丸ごと剥がれてしまうのです。
これは時間の制限があって、
焦っている時に起こりがちな失敗です。
締切が迫っているのにうまくいかなくて、
何度も肌の色をやり直していたときのこと。
人の顔の頬の部分だけがポッコリ取れて、
キャンバス地がのぞいてしまった時には
本当に焦りました。
剥離が起こると、
それまでの努力が水の泡になるだけでなく、
穴があいたところが周りと馴染むよう
修正しないといけなくなり、
とんでもなく難しい状態になります。
気になるところがあっても、
そこばかりつつきまわさないこと。
絵の具を重ねる時は、
必ずカラッと乾燥させてから、
時間をかけずにサッと筆を動かすことです。
「急がば回れ」
急ぐ時はドライヤーを手元に置いて、
こまめにしっかり乾かしながら
重色しましょう。
③ 色がにごる
色がにごる。
これはアクリル絵の具に
限ったことではありませんが、
絵の具を混ぜたり重ねたりした時に、
よく起こります。
これには主に
2つのの原因が考えられます。
⑴ たくさんの色を混ぜすぎる
これはアクリル絵の具だけでなく、
どんな種類の絵の具を混ぜた時にも
起こる失敗です。
絵の具の混色は減法混色
(混色すると明度が下がる)
なので、
混ぜると最初の色より暗くなります。
混色することで彩度も下がるので、
たくさんの色を混ぜると、
色はどんどん暗く、濁っていきます。
少し渋い色にしたい場合でも、
混ぜるのが同系色の場合は
それほど濁りませんので、
パレットで色の状態を見ながら
臨機応変にやってみましょう。
⑵ 透明な色を何度も重ねる
透明な色を重ねる場合も、
下の色が透けて見えて
混色と同じ状態が起こってしまいます。
透明な色を重ねるのも、
3度くらいまでにする方がよいでしょう。
重ねるのが同系色の場合は
それほど濁りは生じませんので、
様子を見ながら重色しましょう。
まとめ
いかがだったでしょう?
どれも、
私が初心者の頃体験してきたことなので、
「これで困っていた!」
というものが
1つはあったのではないでしょうか?
最初はわからないことばかりで、
失敗もありますが、
それもいい勉強だったと今は思います。
そんなまわり道も楽しみながら、
絵を描けるといいですね。
いろんな絵の具を使ってきて、
私が最後に相棒にしたのが
アクリル絵の具です。
自信をもってお勧めしたいです。
たくさんの人がアクリル絵の具になじみ、
ステキな作品を生み出してもらえると
嬉しいです。
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