初心者も描けるペットの肖像画講座 第1回 絵の資料にする写真の撮り方

 

こんにちは,麻真です。

ペットの肖像画を描く仕事をしています。

 

今までたくさんのペットさんの絵を
描かせていただきました。

 

ワンちゃんもネコちゃんも,
うさぎさんやモモンガさんも,
みんな無条件にかわいく,
描きながらニンマリすることもしばしば。

 

だけどやっぱり,
描いていて一番気持ちがこもるのは,
一緒に暮らしているうちの子たちであるのは
言うまでもありません。

 

私が描かせてもらったペットさんたちも,
その子の魅力を一番わかっているのは,
飼い主さんです。

 

だから,できることなら
飼い主さんが描いたほうが,
その子の魅力を引き出せるはずですよね?
なにより,愛情がこもった絵になります。

 

飾る楽しみと描く楽しみを味わえ,
2度おいしい!

 

私と一緒に,カワイイいいわが子の絵を
描いてみましょう。

 

コツさえつかめば,
愛しいペットさんの絵が
自分で描けるようになりますよ。

 

これから
私がペットの肖像画を描いているときの
手順やコツなど,ご紹介します。

 

まず第1回は,肖像画の資料として使える
写真の撮り方です。

 

①写真を使う理由と,メリット・デメリット

②写真を撮るとき気をつけること

③どんな場面を狙って撮る?
 視線をこちらに向ける方法は?
 
④写真の構図はどうすればいい?

など,お話ししようと思います。

 

では,おつきあいください。

 

 

① 絵を描くとき写真を使う理由と,メリット・デメリット

 

まず,写真を使う理由からお話しします。

 

人間のモデルさんと違って,
ワンちゃんやネコちゃんは
絵を描く間じっとしていてはくれませんよね。

 

よく観察してクロッキー(速写)を繰り返し,
その生き物の構造を理解すれば,
動くものも描くことはできるようになります。

 

写真がなかった頃の画家さんたちは,
そうやって生き物を描いていました。

 

ですが,そこまで到達するには,
かなりの時間がかかります。

 

描きたいものを,今すぐ描きたい!
そんな時カメラにお世話になるわけです。

 

私も写真を使って肖像画を描いています。

 

私が肖像画を描かせていただく場合,
お預かりしたお写真と,
飼い主さんから聞いたエピソードでしか
その子を知らない場合も多いです。

 

ワンちゃんネコちゃんと実際に会う場合も,
その日が初対面で,
せいぜい1~2時間くらいしか
一緒に過ごせません。

飼い主さんも一緒のリラックスした状態で
その子と過ごし,
写真をたくさん撮らせてもらって帰ります。

 

私はスマホのカメラを使用しています。
画質も問題なく,ネコちゃんの等身大の
大きさくらいまで引き伸ばしても大丈夫です。

 

写真を使うメリットは,落ち着いてゆっくり
見て描くことができることです。
それによって,細かいところまで
時間をかけて描き込んでいくことができます。

 

私はかなり細密に描き込むので,
写真がないと描けないです。

 

プリンターで印刷できる大きさの絵であれば
大まかな形は写真を転写することができ,
制作も早く進みます。

 

 

写真を使うデメリットもあります。

 

写真をそっくりに写すことだけに気をとられ
描く対象を観察することが
おろそかになることです。

きちんと絵の勉強をしようと思っている人は
写真ばかりに頼らず,
クロッキーもやってみたほうが
いいと思います。

 

 

② 絵の資料として使う写真を撮るとき気をつけること

絵を描く資料にする写真を撮る場合,
これだけは気をつけてほしといういポイントが
3つあります。

 

まず1つ目は,フラッシュをたかないことです。

 

フラッシュをたくと,正面から光が当たり,
明暗の差があまりない写真になります。

その写真を見て描くと,
絵が平面的になってしまいます。

 

立体的な動物を描くために,
フラッシュは使わないようしましょう。

 

これは静物や風景の絵を描くときの
資料の写真を撮るときでも同じです。

 

 

2つ目は,逆光にならないように撮ることです。

 

せっかくいい場面の写真が撮れたのに,
暗くてどこに目があるのわからない
なんてことになるともったいない!

 

記念写真などを撮るときは
誰でも気をつけていることですが,
動いている生き物などを撮るときは
失敗しがちです。

 

太陽の方にカメラを向けて
シャッターを切らないように,
ペットさんと自分の位置に気をつけましょう。

 

室内の照明でも,
このことは意識しないといけません。

 

照明器具とカメラの間にペットさんがいると
逆光になってしまうので,気をつけましょう。

 

3つ目は近づきすぎないことです。

 

あまり近づいて写真を撮ると,
近くが大きくなりすぎて,
こんなバランスの悪い写真になります。

 

少し離れて,

ちょっとズームして撮るくらいがいいですね。

 

 

とは言っても,
縦横無尽に動き回る動物たちです。

 

できるだけ位置関係を意識した上で,
カメラを持って追いまわし,
失敗写真もたくさん撮ればいいと思います。

 

スマホやデジカメで撮れば,
いらない写真はスグ削除してしまえるので。

 

 

 

私も,1枚の絵を描くために100枚以上の
写真を撮らせてもらったことがあります。

 

ドッグランの端から端まで
駆け回っている子を撮ろうとすると,
逆光がどうのと考えている余裕はありません。

 

帰って見てみると,
ブレたものもあれば逆光の写真もありました。

 

一緒に過ごさせてもらった1時間弱で,
それだけたくさん写真を撮らせてもらっても
絵になる写真はたった1枚だけでした。

 

初対面の子では,こんなものです。

 

わが子を撮るなら,気長にかまえ,
気に入る写真が撮れるまで
何度でも挑戦しましょう。

 

 

③ どんな場面を狙って撮る?
  視線をこちらに向ける方法は?

 

甘えるしぐさがたまらなくカワイイ
凛とした立ち姿がカッコイイ などなど,

飼い主さんが知っているわが子の魅力は
いっぱいあると思います。

 

一番好きな瞬間のわが子を描くと,
描いてる時も飾ってからも
幸せな気持ちになりますね。

 

そんな瞬間をカメラにおさめましょう。

 

だけど,カメラを向けるとよそを向いたり,

いつもと違う様子に身構えて,
普段通りの行動をしてくれなかったり,

カメラを嫌がって逃げる子もいますよね。

 

動いているところを追っていると,ブレたり
画面から出てしまったりすることもあります。

 

いつも一緒にいる子たちでも,
思い通りの写真を撮るのはとても難しいです。

 

まず,こちらを向いてもらう方法ですが,
興味のあるものを持って呼ぶのが効果的です。

 

動くものに反応するネコちゃんには,
動かしながら名前を呼ぶといいですが,
スマホを持って反対の手で動かすって難しい。

 

誰かいれば,カメラのそばで
動かしてもらうと助かりますね。

 

目に白い光を入れたいときは,
光のある方向にペットさんの
視線が向くようにして撮れば,
瞳に光が写ってキラキラします!

 

照明の前などで,
ペットさんの好きなものを振ってみましょう。

 

ネコさんの場合,明るいところでは黒目が
タテに細くなってしまいますよね。

 

少し黒目が大きいほうがかわいいかなと,
私はあまり明るすぎない場所で,
光のほうを向かせるようにしています。

 

すると,こんな感じの写真が撮れます。

 

動いているところを撮るなら,
スマホで動画を撮って,
気に入った瞬間をスクリーンショットする
というやり方もいいですね。

 

カワイイ動きを動画にできれば,
後から再生しながら,
狙った瞬間をスクショ!

 

失敗しても何度でもやり直せるので,
ペットさんに振り回されず,
落ち着いて納得いく写真が撮れますよ。

 

一度試してみてください。

 

 

④ 写真の構図はどうすればいい?

 

ワンちゃんネコちゃんの動きを追っていると,
なかなかいい構図で写真を撮れませんよね。

 

でも,大丈夫!

 

写真は絵を描くとき参考にする資料なので,
構図はあまり考えなくてもいいんです。

 

写真をプリントした後で,いい構図になるよう
トリミング(いらないところを切る)します。

 

ただ,

後で必要ないところを切るのは簡単ですが,
描きたい部分(例えば足先など)が
切れてしまっていると,
他の写真と合成しなければならなくなって,
とても難しくなります。

 

ズームし過ぎず,
余裕で全身が入るくらいに撮りましょう。

 

とはいえ,
あまり小さく撮りすぎても,
拡大すると画質が悪くなり,
細かい所が分かりにくくなります。

 

ペットさんが
画面の7割ほどの大きさに写るように
という気持ちで狙うといいかもしれません。

 

あくまで,「一応そんな気持ちで撮ろう」
ということです。

 

焦らず,何枚も撮って
ちょうどいい写真を見つけましょう。

 

 

あと,
部屋が散らかってて,
余計なものが写ってしまった!
なんて場合。

 

これも大丈夫!

 

絵の場合,
描きたくないものは描かなくていいし,
背景をまるで変えてしまうこともできます!

 

ペットさんをうまく撮ることだけ考えて,
周りを気にせずバチバチ取りましょう。

 

 

まとめ

 

今回は,ペットの肖像画を描くために使う
写真について

①写真を使う理由と,メリット・デメリット

②写真を撮るとき気をつけること

③どんな場面を狙って撮る?
 視線をこちらに向ける方法は?
 
④写真の構図はどうすればいい?

という内容でお話ししました。

 

いろいろ細かいこともお話ししましたが,
私の経験上,理屈を知っていても
なかなか思い通りの写真は撮れません。

 

わが子でも,
どうしても狙った写真が撮れなくて,
何ヶ月もかかった子さえいます。

 

知らないよりは,知っているほうが
より使いやすい写真が撮れる,
という内容だと思ってください。

 

確実にできるのは,
「フラッシュをたかない」
ということくらいです。

 

いい写真を撮ろうと追いかけ回し過ぎて,
愛するペットさんとの関係が
悪くなってしまわないように
注意してくださいね。

 

写真を撮るのもコミュニケーションと思って
楽しみながらやってもらえると嬉しいです。

 

今すぐ描き始めようと思わず,
普段から写真を撮ることを習慣にして,
これぞと思う写真が撮れた時に
描き始めるといいですよ。

 

 

では,今回の講座はここまで!

 

第2回は,初心者の方に役立つ
「額装して飾れる絵を描く」というテーマで
お話ししようと思います。

 

それでは,また!