初心者も描けるペットの肖像画講座 第5回 アクリル絵の具で彩色をする

 

こんにちは,麻真です。

 

第4回の講座では,

アクリル絵の具や筆,その他必要なものの
選び方についてお話しさせていただきました。

 

第4回 アクリル絵の具の特徴と選び方↓

https://d-marron.com/lesson4

いよいよ今回が最終回。

アクリル絵の具を使って
色を付けていきましょう。

 

さて,

・アクリル絵の具
・筆
・キャンバス(紙・キャンバスボードも可)
・ペーパーパレット
・水入れ
・柔らかい布(薄い色がよい タオルは×)
・小皿(使わなくなった食器でよい)
・ドライヤー(作品を乾かす)

・高画質の大きい写真
(FUJIFILM画彩がオススメ)

・構図を考えた用紙

 

は手元に揃いましたか?

 

部屋のあちこちに置いてある状態ではなく,
全てキャンバスの近くに置いてから
始めてくださいね。

 

もちろん,水入れには
水を入れておいてください。

 

水が少ないと,筆がきれいに洗えないし,
すぐに濁って絵を汚してしまいます。

 

水入れに3つ部屋があるなら,
その全部に7~8分目まで水を入れましょう。

 

 

もうひとつ,
絵の具を水で溶かしてもいいのですが,

第4回の講座を読んで
メジウムを準備した方は,
ヨーグルトの容器などに入れて
手元に置きましょう。

 

使わない時はラップで覆って輪ゴムで留め,
空気に触れないようにしておけば
しばらく使えます。

 

メジウムを使うと少しだけ乾燥が遅くなり,
固着力が強く,絵の具の伸びがよくなる
などの効果があります。

 

絵の具を溶くときの泡立ちを少なくしたり,
タレやハジキ現象を少なくするとも
書いてあります。

 

 

私は今回,絵の具がリキテックスなので
リキテックスの
ペインティングメディウム
を使います。

 

第4回でお話ししたように,
他社製品を混ぜると
不具合が起こる場合があるので,必ず
絵の具と同じメーカーのものを使いましょう。

 

第4回の内容はこちら

https://d-marron.com/lesson4

 

ホルベインでは,同じ役割のものが
ペインチングメディウム
という名前です。

 

ホルベインにはもうひとつ,水の感触に近い
ペインチングソルベント
という描画液があり,

ホルベインの絵の具を使うときは,
私はこちらを使っています。

透明でサラサラしているので,
水を混ぜるのとあまり変わらない感覚です。

 

 

では,
これからアクリル絵の具で彩色する手順を
説明していきますね。

 

私はアクリル絵の具を
水彩絵の具風に使うので,
かなり薄めて使う方法をお話ししています。

 

普段油絵の具風に使っている人には
慣れない描き方になるかもしれません。

こんな使い方もあるんだーと思いながら,
いつもの描き方をしてもらってもOKです。

 

 

では,次の順番で進めていきますね。

 

① アクリル絵の具で下塗りをする

② 背景に色をつける

③ 主役のペットに色をつける

ぼかしながら輪郭を決める

暗いところ→明るいところ
→中間の明るさのところ

全体に半透明の色をかける

暗いところ→明るいところ
→中間の明るさのところ …

④ 眼,鼻,口などの細かい部分の仕上げ

⑤ 全体の調子を整える
             完成!

 

 

もちろん
この通りじゃないといけないわけでは
ありません。

 

やってみて,
自分はここを入れ替えたほうがやりやすいな
という場合は変えてもらって大丈夫。

 

例えば,
転写した後で下塗りしたら
鉛筆の線が消えるから,
先に下塗りをしてから転写するとかも
OKです。

 

(これ,実は私がやってしまった失敗です
(^^;
下塗りで何度も筆や布でこすると
線が消えます)

 

初めての方は
やってみないと自分の描きやすい方法も
わからないと思うので,

とりあえず一度この順序でやってみましょう。

 

 

では順番に詳しく説明しますね。

 

① アクリル絵の具で下塗りをする

白いキャンバスにいきなり絵の具で描かず,
アクリル絵の具で薄く下塗りをしてから
絵を描いていきましょう。

 

これは,

1.色を重ねることで色に奥行きや深みが出る

2.背景と物の間などに小さな隙間が
 できたとき,塗り残しが目立たない

という理由からです。

 

最初からおつきあいいただいている方は
白いキャンバスに下絵を転写しましたね。

 

今回はこの上から,透明な色で
下描きの線が消えないように
薄く下塗りをしていきます。

 

 

ではまず,下塗りの色を決めましょう。

 

最終的にこうしたいと思う色との相性で
下塗りの色を決めていきます。

 

ペットさんはどんな色ですか?

 

背景はどんな色調にしたいと
思っていますか?

 

背景の色は,ペットさんのイメージに
合う色にするといいですね。

 

ペットさんが濃い色なら明るい色,
明るい色ならちょっと濃い色にすると
ペットさんが目立つ絵になります。

 

下塗りの色は,ペットさんや背景の色と
混ざっても濁らない色を選びます。

 

透明な色を重ねる(重色する)と,
パレットで色を混ぜるのと同じように
色が混ざります。

混色して汚くなくなる色同士は
重ねても汚くなります。

 

下塗りの色の選び方によっては,
次に塗る色が重なったとき,
下塗りの色が透けて見えて
濁ってしまう場合があるのです。

 

特に,毛の色が明るいペットさんの場合は,
下の色を隠しにくいので
影響を受けやすいです。

 

ですが,一番明るい白の場合は,
どの色と混ぜても濁りません。

下塗りの色が透けて見えても
汚くはならないので,あまり暗くない色で
その子のイメージに合う色を選べばOKです。。

 

 

近い色同士を混ぜると濁りは少なく,
混ぜる色が遠い程,より濁ります。

 

真反対の位置にある色は,
補色の関係にあり,
混ぜると無彩色に近くなります。

 

近い色,遠い色は
色相環を見て確認しましょう。

まだ慣れていなくて,
どの色とどの色を混ぜたらどんな色になるか
わからない場合は,
仕上がりの色と近い色を選ぶと濁りません。

 

最終的な色と全く同じでは
重色の効果がないので,
少し違う色のほうがいいですね。

 

 

私が下塗りによく使う
オススメの色は明るい黄色です。

 

上に寒色系や暗い色を置いても,
下からほんのりと明るさが支えてくれて
色が沈み込みません。

 

自分で決められない方は,
今回は明るい黄色にしてみてください。

 

 

 

色が決まったら
パレットに絵の具を出しましょう。

 

下塗りの絵の具の量は
F3号ならこのくらい。

 

少なく見えるかもしれませんが,
水を多くして薄く溶かすので,
これで足ります。

 

アクリル絵の具はすぐ固まって,
水で撫でても二度と溶けません。

 

たくさん出すと捨てることになるので,
その都度,必要な量だけ出します。

 

絵の具の量が多いと,下塗りの線が
見えにくくなるので気をつけましょう。

 

 

 

ハケに水をたっぷり含ませて,
出した絵の具をキレイに全部溶かします。

その刷毛で,できるだけ速く,
全体に絵の具をのばします。

まずは横に掃くように,
全体に色をつけましょう。

背景をどんな風に仕上げるかにもよりますが
ヨコの流れのほうが空気感が出ます。

 

もし途中でかすれてきたら,
絵の具ではなく,水を足して
筆先で軽く撫でて伸ばしてみてください。

 

強く抑えたり,
しつこく同じところを撫でまわすと
鉛筆の線が消えるので
筆の先でそっと掃くように…

 

筆の跡がはっきりついてしまったときは,
乾く前に刷毛の先で軽く撫でて消しましょう。

 

下塗りをした時の動画です。

 

私の絵の背景は,
中心から外に向かって
円形のグラデーションにしようと思うので,
最後はその流れのように
筆を動かしておきました。

 

下塗りの時から
出来上がりの空間の感じを意識して
筆を動かしておくと,
次に色を重ねるときに下塗りの筆の動きが
いい雰囲気を作るお手伝いをしてくれます。

 

 

背景には
薄いところや濃いところがあったほうが
空気の感じが出ます。

 

だから,色ムラはあっても大丈夫!

 

ただ,刷毛の跡が変な方向に
クッキリついていると,
後で影響が出るかもしれません。

 

空気の流れを意識するとか,
モノの形に沿って刷毛を動かすなど,

筆を動かす方向は
最初から最後まで意識して彩色しましょう。

 

 

全体に薄く色が付いたら下塗り完了です。

 

次の作業に入る前に完全に乾かしましょう。

 

すぐ次に進みたい場合は,
ドライヤーで乾かしてください。

 

決して生乾きのまま
次の色を重ねないでくださいね。

下塗りの色が取れてしまいますから。

 

 

② 背景に色をつける

下塗りが完全に乾いたら,
背景から色をつけていきます。

 

なぜ背景からなのでしょう?

 

風景画を描くときなどもそうですが,
遠くから色をつけていくというのが
彩色するときの基本になります。

 

例えば,
風景画を描いているとき,

 

空の色が山のほうにはみ出してしまっても
山の色を重ねて修正すると
自然に仕上がります。

 

逆に,
山の色が空にはみ出してしまって
空の色で山の形を修正したら
不自然になりますよね?

 

 

木の隙間から空が見えている場合なども,
空の色を先に滑らかに塗っておいて
その上に後で木を描くと,
早く美しく描けます。

 

逆に,
先に木を描いてしまうと,
後から葉っぱや枝の隙間を
空の色でチョコチョコ埋めることになり,
時間がかかる上に見た目も汚くなります。

 

 

ペットを描く場合も同じです。

 

ふわふわした毛の感じを描こうと思うと,
背景を先に塗っておかないと
できないわけです。

 

今回は下塗りをしているので,
ペットさんと背景の間に少し隙間を開けても
塗り残しのようには見えません。

 

下塗りの色も上手に生かして,
雰囲気のある背景を作っていきましょう。

 

 

背景はいろんな処理の仕方があります。

 

写真の風景をそのまま描いてもいいですし,
好きな風景の写真と合成してもいいですね。

 

グラデーションにしてもいいし,

ドリッピング(絵の具を散らす)したりして
雰囲気を作ってもいいと思います。

背景に3色くらいのドリッピングをした作品。

ドリッピングは,

ペットさんを汚さないようにガードして,
水分多めの絵の具を落とせばいいのですが,
結構広い範囲に散ってしまいます。

 

服や周りのものに絵の具を散らさないよう
注意してくださいね。

エプロンや腕抜きなどを使うといいでしょう。

 

 

どんな背景にするか決まりましたか?

 

アイデアが浮かばない方は,

私が今までに描いた肖像画のギャラリーを
見てもらうと参考になるかもしれません。↓

https://dear-marron.com/gallery/

 

 

 

 

それでは背景に色をつけていきましょう。

 

その前に,

下塗りは完全に乾いていますか?

生乾きだと,
下塗りの色が取れてしまうので注意!

 

乾いていない場合は,
ドライヤーで完全に乾燥させましょう。

 

 

私は今回,外に行くほど濃くなる
グラデーションにします。

 

下塗りの色がうっすら見えるくらいの
色をつけるなら,

絵の具の量はまた,下塗りと同じくらい。

 

足りなかったら足せばいいので,
出し過ぎないようにしましょう。

 

背景は広いので,またハケを使います。

平らなパレットでは難しい場合は,小皿に溶きましょう。作った色に,水(またはペインティングメジウム)を加えて,よく伸びるやわらかさにします。

下塗りの色が消えないくらい薄めた絵の具を

ウサギさんの周りを包むように丸く筆を
動かし,重ねていきます。

ウサギさんの周りを包むように,丸く刷毛を動かして一度塗りました。

外に行くほど濃くしたいので,

一度塗って、ドライヤーで乾かしてから,
外の方をもう一度重ねて濃くしました。

 

グラデーションになるように,乾く前に
筆先で軽く掃くように筆を動かして,
境目をぼかします。

あまりわからないかもしれませんが,背景の外の方だけ2度塗りをして濃くしました。

下塗りの色が微妙に覗き,
いい効果を出しました。

 

後で全体を見て微調整しますが,
これで背景の大体の雰囲気はできました。

 

 

ここで,冒険できる方は,

パレットに背景の絵の具が残っていたら
乾く前にもうひと働きしてもらいましょう。

 

私は背景の残りの絵の具を,
動物の陰影の部分などに
チョコチョコ飛ばしておきます。

写真を撮り忘れたので,別の絵ですが,こんな風に色を置いておく感じです。

こうすることで,
背景と主役の色の調和が取れます。

 

背景と動物は隣り合っています。

モノには隣にある物の色が
ほんのり反射しているのです。

 

背景の色が動物の中にもあることで,
ペットさんがその背景の中に
自然に存在する感じになります。

 

上から動物の色を重ねたときに
その色が少し下からのぞくと,
色に変化も出て,単調になりません。

 

「こんな色ないよ」
という色でも,
だまされたと思って
ちょっと入れておいてください。

 

効果はあとのお楽しみです。

 

 

③ 主役のペットに色をつける

次はペットさんに色を置いていきましょう。

 

ここからは写真を絵の隣に置いて,
よく見ながらやっていきます。

先ず,絵の具を混ぜて
ペットさんの色を作りましょう。

 

薄めた絵の具を何度も重ねるので,
やはり絵の具はほんの少しだけ出します。

 

最初から濃い絵の具を置くと
硬いプラスチックのような質感に
なってしまうので,

毛の質感を出すため
初めは薄く溶いた絵の具を
置いていくほうが柔らかい感じになるのです。

 

基本的に,
チューブから出した色はそのまま使いません。
色は混ぜて作りましょう

 

例えば,茶色いワンちゃんにも,よく見ると
少しオレンジや黄色を感じませんか?

感じた色を少しだけ混ぜてみましょう。

 

色数をたくさん混ぜると色が濁るので,
一度に混ぜる絵の具は3色まで

 

色に変化があったほうがいいので,
絵の具が足りなくなって作り足すときには
あえて違う色を混ぜてみるといいと思います。

 

塗ってみたら思った色と違った

なんてこともありますが,大丈夫!

 

これから上に何度も絵の具を置いていくので
そこで思った色にしていけばいいです。

 

「違った」と思った色が,
下から少しのぞいて,
色に変化をつけてくれます。

 

下塗りと同じ効果ですね。

 

なので,怖がらないで色を作りましょう。

 

このくらいの量を混ぜて,ペットさんの色を作りましょう。混ぜる絵の具は3色までに。

さあ,
ペットさんの色はできましたか?

 

ではまず,輪郭から色を置いていきましょう

 

先に中に色をつけると,輪郭線が
見えにくくなってしまうことがあるので,
初めに輪郭をはっきり決めておくのです。

 

といっても,
輪郭の線を「ふちどる」のでありません

毛の柔らかい質感を意識しながら,

「絵の具を置く」

という感じでやっていきます。

 

輪郭に絵の具を置いている動画です。

 

輪郭を決めていくときは,
筆の先を内側から輪郭線に当てます。

筆の毛の根元を輪郭に当てるとはみ出すので
注意しましょう。

 

暗いところには水が少なめの絵の具を,
明るいところは水が多めの絵の具を置く

立体的な感じになってきます。

 

 

輪郭線を縁取ったようになるのが嫌な場合,
乾く前に指や布で内側に擦って広げると
自然にぼかすことができます。

外から中へ,指などでこすってぼかします。これも動画でやってます。

 

輪郭に筆先を当てようとすると
手の向きが難しいときは,
キャンバスを回転させます。

写真と角度が違うと見にくいので,
写真も同じ角度に回転させてから見ましょう。

 

絵を回転させて,重ね塗りをしている動画です。

 

毛がフワフワ立っているところは
細い丸筆で1本ずつ描く方法もありますが,

私は写真のように平筆をタテに当てて
細い線を描いていきます。

筆を持ち変えなくていいし,
すぐ広いところに移っていけるので
この方が速いです。

乾きの速いアクリル絵の具は
速さが勝負なので。

 

 

輪郭がだいたいできたら,
残った絵の具で中のほうにも
色を置いていきましょう。

 

鉛筆の線が見えなくなる前に,

特に暗いところ,特に明るいところに
先に色をつけておきましょう。

動物を描いていると,
たくさんの毛の束があり,
どこを描いているのか
わからなくなることがあるのですが

この強い暗さ・明るさが目印になって,
絵の具を置く場所を間違えるという
失敗が起こりにくくなります。

 

 

明るい色は,ペットさんの色に白を混ぜて,
暗い色は黒を混ぜて作りましょう。

 

白と黒,両方を一度に混ぜてしまうと,
灰色が混ざって色が濁るので注意しましょう

 

暗い色がついた筆と 明るい色がついた筆,
2本用意して,持ち替えながら描くと
色が濁りません。

 

でも,乾燥の速いアクリル絵の具ですから
のんびりしてたら筆が固まってしまいます。

 

できれば,

暗い色の絵の具を筆につけたら,
暗いところ全部に色をつけ,

明るい色を筆につけたら,
明るいところ全部に色をつけましょう。

 

こうすることで,
全体の明暗のバランスを見ながら,
速く彩色していくことができます。

 

顔を仕上げてから,次は足を仕上げ,
次は…

というように,
細かい部分を少しずつ仕上げていくような
描き方をすると,

同じ色の絵の具を何度も作るため
時間がかかるし,

何度も筆を洗って
絵の具をどんどん捨てる事にもなります。

 

なにより,全体のバランスを見ながら
制作を進めていくことができません。

 

どんな絵を描く時も,
下描きから彩色までずっと,
全体的に仕上げていくという意識を持って
描いていきましょう。

 

色を置いていく順番は

 

暗いところ→明るいところ
→中間の明るさのところ

 

というのがというのがいいと思います。

 

暗いところのほうが
明るいところより奥にあることが多いので,
遠くから色を置いていくということにも
つながります。

 

中間の色が最後なのは,

わかりやすい 暗いところ,明るいところ
に先に色を置いて,残ったところが中間の色

というように判断すれば楽だからです。

 

 

ここでも,薄く溶いた絵の具を使います。

もう少し色を強くしたいというところには,
完全に乾いてからもう一度
絵の具を置きましょう。

 

完全に乾いていないと
下の絵の具が取れるので,

急ぐ場合はドライヤーを使って
しっかり乾かしてから重ねましょう。

 

これからまだ絵の具を重ねていくので,
この辺までは隙間があっても掠れていても
全然大丈夫です。

 

むしろその方が所々に下の色が見えて,
変化のある色味に仕上がります。

 

几帳面な人ほど隙間が気になって
ベッタリ1色で塗りつぶしてしまいがちです。

隙間はこれから解決するので,
ベタ塗りにならないよう,気をつけましょう

 

 

ペットさん以外に何か描いている方は
そこにも色を置いていきましょう。

 

私のこの絵の場合,
背景,ウサギ以外に,手があります。
ここだけ色が乗っていないので,
色をつけていきます。

 

動物の毛の時と同じように,
明るいところに明るい色を,
暗いところに暗い色を置いていきます。

このあとの手順も
ペットさんを描いた時と同じです。

 

そしてまた,
パレットに残っている絵の具,
捨てないでください。

 

これをまた,ペットさんの中に使って
色を飛ばしておきます。

手の明るい色はウサギの明るいところに,
手の暗い色はウサギの暗いところに
軽く置いていきました。

 

使った色は
どれも少しずつ全体に飛ばしておくと,
全体の色のバランスが取れます。

 

このように,使った色を飛ばしながら
全体が同じ進度で完成に向うようにすると,
色のバランスが取りやすいだけでなく,

余って捨てる絵の具もなくなります。

 

 

 

ここまできたら,

全体がつながっている感じを出すために,
一度全体に薄く半透明の色をかけましょう。

 

半透明な色は毛の色に白を加えて作ります。

中間の色を一旦全体に薄く重ねる感じです。

 

絵の具が濃いと
せっかく作った明るさや色の差が
消えてしまうので,水分多めで重ねます。

 

筆はやはり毛の流れを意識して動かします

 

半透明の色を重ねている動画です。

 

隙間やカスレがなくなって,
全体が一つの塊に見えてきましたね。

 

白い絵の具が残ったので,明るいところに置いておきました。できるだけ絵の具は有効に使いましょう。

せっかく作っていた明るさの差が
少し薄れてしまったので,

写真を見ながらもう一度

暗いところ→明るいところ
→中間の明るさのところ …

 

と,色を置いていきます。

 

どうでしょう?

ここまで来たら,なんとなく
質感や立体感が出てきましたね。

 

「塗る」といより,
「絵の具を置く」という感じ,
わかってもらえたでしょうか?

 

その感覚が分かれば,

 

完全に乾かしては重ねて,を繰り返して
だんだん濃くしていきます。

 

それを繰り返しているうちに
いつのまにか 絵が完成していくのです。

 

これは,何度重ねても大丈夫な
アクリル絵の具だからできる描き方です。

 

 

 

④ 眼,鼻,口などの細かい部分の仕上げ

 

肝心な顔が,まだできていませんね。

 

これはとても大切な部分なので,
私は,気持ちが落ち着いていて,
体調もいい時に描くよう気をつけています。

 

ほとんど平筆で描く私も,
顔だけは先の揃う細い丸筆も使います。

 

では,一番大切な,目からいきましょう。

 

ペットさんの写真を見てください。
目の光はどこにどのように入っていますか?

 

顔はこっち向いてるけど,
ちょっと目をそらしてる

なんて時は,光の位置を変えて
こっちを向かせてあげましょう。

 

こっちを向いてるように描くと,
どの位置から絵を見ても,
目が合う絵に仕上がります。

 

 

蛍光灯の下や,たくさんの光がある場所で
撮った写真の場合,
瞳にたくさんの白い光や
細長い光が入っている場合があります。

 

そんな時は,そのまま描くより
丸い光を1つにして描く方が
よりこちらを向いてる感じになります。

 

では,ちょっと変えようと思った方は,

キャンバスに色鉛筆等で先に修正してから
絵の具を出しましょう。

 

 

顔がぼんやりしていては
締まらない絵になってしまうので,

毛を描いた時と違い,顔はいきなり
水分の少ない絵の具で描いていきます。

 

ですが,面積が少ないので,
やっぱりパレットに出す絵の具は
ほんの少量です。

 

まず,目の縁の線がはっきり見えている子は
縁を描きましょう。

 

目の周りに黒い線が見える子も,
真っ黒にするとキツい顔になるので,

少し毛の色などを混ぜて
柔らかい色を作って描きましょう。

 

周りにぐるりと線が見えても

全部同じ太さで描かず,細いところは細く,
時々描かないところもあるほうが
自然に見えます。

ネコちゃんなど,白目が見える子は
次に白目の部分を塗ります。

 

ネコちゃんの目の色は透明感があり,
そして,微妙な色なので,
色を作るのも大変かもしれません。

 

ここは毛の時と同じように
水分の多い絵の具を使ったほうが
質感が出ます。

 

少量の絵の具を水分多めに溶いて,
近いと思う色ができたら
塗ってみましょう。

 

水分が多いほど透明感が出て,
ほとんど絵の具をつけていないのに
ちゃんと透明な目に見えます。

私のギャラリーのネコさん参考↓

https://dear-marron.com/gallery/

 

 

次は,黒目の部分の色を塗ります。

これも,
黒く見えても真っ黒ではないと思います。
本人や写真をよく観察して,

 

こんな色が入ってるかな?

という色を混ぜて作りましょう。

 

毛の色や背景の色を混ぜるのもいいですね。

 

 

白い光の部分を残して塗ることができる方は
残してみてください。

 

下描きの線が消えないし,
より白が生きると思います。

 

黒目と光の間に隙間ができるとおかしいので

光を白く残すときは,
神経を集中して,丁寧にやりましょう。

 

 

光を残すのが難しい方は,

まず全部黒目の色にして,
乾いてから光の白を入れてください。

 

白は下の色を隠しにくい色ですが,
水を少なくすれば不透明になるので,
黒目の色を隠せます。

 

 

両目を描く場合,
左右の目の光を同じにするより,

どちらかメインになるほうの光を強く,
もう片方は少し弱くすると
より目力が強くなります。

 

私は,

光の大きさを少し変える

水分で白の強さを加減して,濃い薄いを作る

という方法で調整しています。

 

あまり極端に変えなくてもいいです。
ほんのちょっとだけ,意識してみてください。

 

 

 

 

次は鼻や口です。

 

黒く見えても必ず他の色を混ぜて,
自分の色を作ってください。
少し赤みが入ると,
血が通った色になりますね。

 

これもぼんやりした塗り方をすると
毛に紛れて顔が見えにくくなるので,
絵の具の水分を少なくし,
はっきりした色で描きましょう。

もちろん,毛で口などが隠れている場合は
無理に描く必要はありません。

見える部分だけ描いてください。

 

 

⑤ 全体の調子を整えて仕上げる

 

ここまでで,全部に色が付きましたね。

 

初めて描いた方は,これで完成!
で,全然大丈夫です。

 

 

もうちょっと上を目指そうと思われる方は,

最後に全体を見て微調整をすると
より完成度が高くなります。

 

次の点をチェックしてみてください。

 

1.明度(明るさ暗さ)のバランス

2.彩度(鮮やかさ)のバランス

3.色のバランス

4.絵の具の濃さ(水分量)のバランス

などなど。

全体を見渡して,
ここがもう少しこうなったらいいな,
というところをチョット修正するわけです。

 

では,
1.明度(明るさ暗さ)のバランス

から見ていきましょう。

 

 

ペットさんの写真と比べて,
絵のほうの明るさ暗さの差が
小さくなっていませんか?

 

明るさの差が少ないと,
立体感が出ません。

 

そういう方は
特に暗いところを強調してみましょう。

 

水分少なめで,
黒の中に毛の色を混ぜた色を作り,
特に暗い部分に筆先でチョコンと置きます。

 

片側ぼかす場合は,乾かないうちに
指や布でサッと絵の具を引っ張りましょう。

 

雰囲気を壊さないで強調したいので,
広い範囲をベッタリ塗らないでくださいね。

 

次に,

背景とペットさんの明るさのバランスです。

 

ペットさんが白っぽい色なのに,
背景も明るすぎて,
ペットさんの存在感が薄くなってる,
なんてことはないでしょうか。

 

逆に,ペットさんが暗い色なのに,
背景も暗いというのも,
ここで調整しましょう。

 

明るくしたい場合は,水分多めの白に
少し背景の色を混ぜて重ねると,
濁りも出ず,下の色も透けて見えます。

 

白だけ重ねて色を薄くすると,
白が浮き上がって白けて見えるので,
背景の色も少し入れましょう。

 

 

暗くしたい場合は,黒を混ぜるより,
同系色の暗い色を重ねるほうが
美しく仕上がります。

背景が水色なら青を使う,という感じです。

 

 

全体に暗い,または明るい色を
重ねる方法もありますが,

今の色が気に入っている場合は
グラデーションを使って,主役の周りだけ
暗くしたり明るくしたりしても,
ペットさんの姿を
はっきり見せることができます。

 

グラデーションの作り方は,
この回の背景のところでやっているので
参考に戻ってみてください。

 

 

主役の周りを暗くしようとして,
明るいふわふわの毛に
背景の色がかぶさってしまった場合,

乾く前に,かぶった部分だけ布で押さえて
絵の具を取りましょう。

 

塗ってすぐなら,
そこだけ絵の具に穴が空いたようにはならず
周りの絵の具が滲んできて
グラデーションになります。

 

少しでも時間を置いてしまうと
穴が空いたようになるので気をつけましょう。

 

 

私はいつも,最初から手に布を持って
この作業をします。

 

アクリル画はスピード勝負です。

 

布はすぐ使える大きさに切って,
いつでも手元に置いておきましょう。

 

 

次に
2.彩度(鮮やかさ)のバランスです。

 

中間の色を作るとき,
白と黒が両方入ってしまって
全体的にくすんだ色になってしまった場合。

 

顔などの見せ場に,
水分多めで,白も黒も入れない鮮やかな色を
重ねて置いてみましょう。

 

パレットの上では
鮮やかすぎるように見えても,
重ねて下の色が浮いてくれば,
ちょうどいい鮮やかさになります。

 

これも全部に塗るのではなく,
自分に近い,出っ張ったところを中心に,
毛の流れに沿って
筆を置いていく感じ。

 

近くは鮮やかに見え,
遠くは彩度が落ちるという
遠近法を取り入れていく感じですね。

これをすると,より立体感が増します。

 

顔,特に鼻など出っ張ったところに置いた
その鮮やかな色は,
前足など,自分に近い他のところにも
少し飛ばしておく
全体のバランスが取れます。

 

 

3.色のバランスを確認

 

なんとなく色がさみしいなと思われて,
明るい部分にちょっと鮮やかな色を
水多めで重ねてみられた方。

色が生きてきましたね。

 

それにもう一色足して,

色をより美しく見せる方法があります。

 

暗い部分にその色の補色を置いてみましょう。

 

お互いの色を引きたて合って,
色がよりきれいに見えます。

 

例えば,茶色いワンちゃんの場合,

飛び出した部分をオレンジで鮮やかにし,
影の部分に青系の濃い色を置いてみる

という感じ。

 

極端にやると浮いてしまうので,
慣れたころ試してもいいですね。

 

 

4.絵の具の濃さ(水分量)のバランス

 

これは,目・鼻・口,
また,明るさのところでも出た
特に暗い影の部分などの細部を見てください。

 

毛と同じくらい水分の多い絵の具で
上のような部分が描いてあると,
全体がぼんやりしてしまいます。

 

特に,顔がはっきりしないと
せっかくの肖像画が映えませんよね。

 

そんな時は,水分の少ない絵の具で
ちょっと強めましょう。

 

全部をべったり塗るというのでなく,
特に形がはっきりした部分に
筆の先でチョンと絵の具を置く感じ。

 

ここで濃い絵の具をべったり塗ってしまうと
せっかくの柔らかい雰囲気が
崩れてしまいます。

 

広い範囲をベタ塗りするのはやめましょう。

 

 

水分の少ない絵の具は
境目がくっきりして目立つので,
私は,形がはっきりしているのと逆側を
片側だけ布や指で擦ってボカします。

 

水分が少ないと,特に乾燥が速いので,
これはすぐやらないと乾いてしまいます。

ボカそうと思う人は,
手に布を持ってから絵の具を置いてください。

 

 

 

これで,

1.明度(明るさ暗さ)のバランス

2.彩度(鮮やかさ)のバランス

3.色のバランス

4.絵の具の濃さ(水分量)のバランス

の確認は終わりました。

 

こうして
背景も含む全体のバランスが整えば完成です。

 

他にも自分で見て気になるところがあれば
足したり修正したりしてみてください。

 

身近な人に,気になるところはないか
きいてみるのもいいですね。

 

でも,家族にきくと,
言いたい放題言われて喧嘩になる
なんて話も聞いたことがあるので,

状況に合わせて,
嫌な思いをしないようにしてくださいね。

 

家族と喧嘩して
せっかく始めた絵をやめてしまうのは
もったいないですから。

 

 

まとめ

 

どうでしょう?

 

納得いく作品が仕上がりましたか?

 

ちなみに私は,仕上げるまでに
F3号で20時間以上かかります。

 

なかなか思うように進まないかも
しれませんが,アクリル絵の具は
しっかり乾かせば何度でも重ねられるので,
焦らず描いていきましょう。

 

ずっとキャンバスを睨みつけていると,
いいのか悪いのか,これからどうしたいのか
わからなくなる時があります。

 

煮詰まったときは,
何日か目に付くところに置いて
時々眺めていると,
どうすればいいか思いつくことがあります。

 

特に,朝起きてすぐ,
明るいところで見ると
新鮮な感じで絵を見ることができて,

 

「今の状態,結構いいじゃん。」

て思えたり,

 

「ここおかしいからチョット直そうかな。」

と気づいたりします。

 

試してみてください。

 

ただし,朝日とはいえ,
直射日光は当てないほうがいいですね。

退色してはいけませんから。

 

 

作品が完成したら,是非
額装して飾ってくださいね。

 

額装については第2章

https://d-marron.com/lesson2 ‎

 

 

これで
初心者でも描けるペットの肖像画講座を
終了します。

 

これからも,絵の初心者の方や
ペット好きの方のお役に立てる情報を
発信していきたいと思います。

 

では,またお会いしましょう!